コットンソフトさんの「双子座のパラドクス」感想です。
コットンソフト「双子座のパラドクス」応援バナー


双子座のパラドクスは、漂流系学園ADV。略称は双パラ。

突然、地中から空に向かって放たれる雷が鳴ると、
双子の兄、諸星総一は学園が消失していることを知り、
双子の弟、諸星総二(先割れスプーンさんの二役)は学園の外が異空間になっているのを見て、
世界は2つに隔たれ、僕達は矛盾する――。

いやあOP曲がかっこいい!華憐さんで「Gemini」。

ということで、体験版は2つ出ており、
体験版1では最初の事象発生から、
体験版2では、分かたれた学園内、異次元での探索と、学園の外(寮)での異常な事態とを、
少しずつ味わうことができます。
(現在は体験版2のみリリース)

前作は、「終わる世界とバースデイ」という作品。
終末思想を扱いつつ、最終的には良い作品だったなと思わせるところがありましたが、
さて、双パラは。
では、ネタバレを回避しつつ感想です。

超常現象、つまりSFを題材とするところは、前作と変わりません。

その方向性が違うのは感じていたのですが、超能力が主体になってくるとは思いもしませんでした。
超能力って個人が発する異能の力なわけで、いってみれば魔法も近いとこがあるのかなと。

前作の場合は、大掛かりなシステムこそが元だったわけで、
起点が違うと感じています。

主人公の総一、総二の双子だけでなく、兄弟の周囲の人々も分かたれる。
幼馴染みの春日夏月(北見六花さん)、総一の元彼女の渡会蒼(松田理沙さん)は学園に。
春日陽月(雪村とあさん)は寮に。
そして、サヴァン症候群の山本テスラ(民安ともえさん)は……。

特定のヒロインが可愛いとか、魅力的かというと、ちょっと違ったかもしれません。
それは、巻き込まれるヒロインとしては正しい行動が多かったためで、
どちらかといえば魅力が減っていく方向だから、ですかね。
へんなところでモタモタしたりとか。

でもそのおかげで、事態における展開を見ていけたというところが、
ディザスタームービーみたいで面白い。

いや、実際に起きているのはディザスターなのかもしれない。

(前作は、主人公の関係をわかってくれている、明るくお馬鹿なあの子が、
 見守ってくれていたことを知った時にもう、ぐっときましたけども……)

なので、ヒロインの魅力だけでいえば前作のほうが良かったかもしれません。

恐らく、SF的仕掛けなど、ストーリーを楽しみたい層からすると、
双パラのほうが終バよりも良い評価をしそうです。

双パラは、想像以上に壮大な物語が広がっていました。
アイディアが良かったんだと思うんです。
超常現象の組み合わせ方をはじめとした。
企画というのが正しいかもしれませんが。

それと、ご都合主義的なところがあまり多くなかったのが何より良かったですね。
ダメな時はだめだ、ときちんと提示している作品って少ないので。

しかし、それだと希望がない。
別な時空軸で希望を表現することで、そこをクリアしています。

今回もきちんとタイトルを回収してくれます。
最初の想定では、あるキャラクタが双子なんだと思っていて、
ところがその予想は外れていたりして。

この事象の起点となる存在についてはびっくりしましたね。
いい仕掛けでした。

これらの要素で作られたストーリー、後半は特に圧巻。
ノンストップで進めてしまいました。

こういう場所を創った人が怪しい、というところは想像つくと思うんですけど、
それより先がすごかったですね。

惜しいところもいくつか。
最後の主人公バトルは、もう少しテキスト量があってもよかったかなと。
というか、トータル的なシナリオ監修かも。

場面によってスピード感がもっと必要なところはあったし、
もっとシックに抑えるべきところもあったように思います。

つまり、テキスト、ダイアログは少し雑なところもあって、
もしかしたらヒロインの魅力はもう少し引き出せたのかも知れないな、なんて。

けれどやっぱり、ネタの良さがあります。
ネタを、キャラクタにどうあてはめて、それを舞台の上でどう動かしていくか。
そこがとてもうまいですね。

繰り返しになりますが、
ヒロインを主軸においた読後感の良い物語ではなくて、
代わりに主人公が格好良く、展開と仕掛けで楽しませてくれる一作です。

総一と総ニで視点が変わるだけでなくて、独立ルートのようにみせるザッピングシステムは、
まさにそれ。

ただ、これももう少し洗練の余地がありそう。
例えば、同じキャラクタで次の章(段落?)へと移動させる理由があるのかどうか。
緊張感の持続を削いでいるようにも、削いでいないようにも思えるところがありますね。

司ゆうきさんとミヨルノウメギさんの原画も、
終わる世界とバースディに近い形でよかったと思います。
立ち絵に細かい動きをつけていますが、
それらはどうやら製作者さんのこだわりの模様。
そうそう、それらが語られるスタッフからのメッセージってあると嬉しいよね。

何より、箱が本当に良かった。
体験版で学園消失することは分かっていたのですが、
パッケージ開けてこれは…やられた!と。

BGMもSFミステリを育てる、かつ邪魔にならないものが多くて良かったですね。
特典CDに入っていた「異空」なんかはとくにサスペンス風味で。
OP曲が凄まじかったのですけど、これも良かったかも。

逆にED曲はちょっと印象に薄いかな。
曲で聞くと良い曲なのですが。Lilaさんが歌う「寄る辺なきこの世界で」。
これはでも、エンディングそのものも、「終わる世界とバースデイ」と比べると…。
もう一つ盛り上げてくれると良かったのかな。

でも、全体的に見て、「終わる世界とバースデイ」より楽しめたのは間違いないです。
やっぱりSFモノってわくわくしますよね。
たくさんの驚きと仕掛け、設定。
うん、楽しかったです。

やっぱりコットンソフトさん結構好きかもしれない。
ねこねこソフトさんにはほっとする物語を継続してもらって。
(「きらおと」も楽しみです)
双子座のパラドクス 初回版
双子座のパラドクス 初回版

かなり高いレベルで楽しませてくれるSF作品です。ぜひ、体験版を。