Loseさんの「ものべの-happy end-」感想です。
ものべの - 縮んだありす


「ものべの」は、高知県の山深い寒村をイメージした、妖怪と人とがくらす茂伸村を舞台にした物語です。
「ものべの-happy end-」その、改訂版。

久しぶりに帰省した沢井透と、すっかり村での暮らしを忘れてしまった妹、沢井夏葉。
迎えるのは沢井の家守妖怪、あかしゃぐまのすみ。傘妖の飛車角。
隣家の幼なじみ、有島ありす。

電車はなく、交通機関はバス。
携帯の電波は届かず、色んなものが売っているスーパーは18時で閉店。
電球を買って交換すれば、再会の食卓に、ヤマキジを添えてくれるめっかい。
めっかいは、土着信仰”ひめみや流”の飼い犬なのだ。

その、ひめみや流の夏祭りがはじまる。
夜行市、屋台の数々をめぐり、盛り上がってきたところへ、クライマックスの”面舞い”。
迫力の太鼓、篝火に照らされ、舞うのはひめみや様と博師たち。

しかし、その舞を見ていると、夏葉が震え出し……そして倒れてしまう。
祭りを切り上げ、村唯一の有島診療所で診てもらうものの、異常は無い。
――ところがその夜半、夏葉は変わった。
十センチ以上伸びた身長。変わる体型。そして下腹部からの出血……異常成長していたのだった。

ということで、物語の流れとしては、「ものべの」と変わりません。
ただ、途中からかなりの加筆と、CGの追加、さらにエンディングの変更が為されています。
(詳しくは、体験版感想で)

では、感想です。
ちょっとネタバレがあると思います。

最初にいってしまうと、この作品は、素晴らしかったと思います。
グラフィック、音声、音楽、ストーリー、演出。
色々な要素が高いレベルでまとまっています。

何より、ビジュアルがすごくいいです。
CGがとことん豊富で、ちょっとした事柄でも一枚CGになるんですね。
また、このクオリティが高いです。
キャラクタに限らず、背景も、とてもきれい。

これは普通に画集が出てもいいと思うんですよね。――出てましたっけ?

また、ビジュアルを駆使した演出もすごいです。
月の光、羽虫の群れ、怪しさと綺麗さとで、茂伸に生きるものたち、
土地を彩ってくれています。

Curaさんのキャラクタは、どれもこれもかわいらしく、
大人のキャラクタは、きちんと色っぽく。
また、仕上がったキャラクタと、声の割り当てはとても良いと思います。

さて、happy endです。
元作品ももちろんプレイしたのですが、HEでは大きな変更が加えられています。

何よりも、どのルートでも過程にあった、夏葉の老化現象。
公約通り排除されています。

まず、ビジュアルが出ない。
もう一つ。老化時の声が出ない。

コレに納得がいっておらず、一応購入したけどどうしようかな、なんて思っていました。

老化現象は、表現したかったことは間違いではないと支持していますし、
アンケート結果も、それが気になった方は3割程度と、低い数でしたよね。
除外する理由はなかったと思うので、もったいないな、って。

何より、見事でしたよね、杏子御津さんの演技。
幼い頃のやんちゃな感じ、ちょっと大きくなった時の声。さらに大きくなって。
そして最後に……という。
この演技で、本当に起きていることが凄まじいことなんだ、というのが伝わりましたから。

だからそれを捨ててHEといわれてもな、と思っていたのですが、
ところが、です。

随分とシナリオ追加されているのがわかりますね。

追加ルートの凄さ。マッチングの高さ。
納得の行く展開になっていました。

この追加の部分が、単なる追加ではなく、またこれまでのルートと外れもしないタイプのもの。
冗長ということもなく、読み応えがありました。

お気に入りは、飛車角と、つみのお話。
そして、すみafterの飛車角。
これは飛車角の背中に、侠気を感じましたよね。
ありすafter、星辰ひみめや様はよかったですね。

happy endにするため、キャラクタもかなり増えていますね。
キャラクタだけで数えていくと、元々14キャラクタだったのが、+11となっています。
すごいですよね。

つみ、いづものみこ、星辰ひめみやが素敵で。
こう、追加キャラクターって、元々のストーリーを邪魔しない程度の存在か、
あるいは、完全独立ルートであることが多いのですが、
すべて、happy endになるため。

また、シナリオも、改めて読むと、感心するところが多いです。

すみafterルートで産まれる、えみについては、ちょっと苦手意識があったのですが、
その対応についても、周囲はとことん暖かく。

そうです。今更ながらに思うのですが、この作品は、
とても温かい人達に囲まれているんですよね。

気遣いから言わない。
気遣いから対応を叱る。
身勝手な感情で踏み外してしまうことがないように。

それは、妖怪であっても同じです。
直接的で、わかりやすく、いいことをしているんだ、という主張のあるタイプではないのですね。
だから、相手に対する信頼を、婉曲または間接的な形で、だけれどしっかりと支えてくれています。
これがすごいなぁ、と。

代わりに、主人公がわたわたするしかなくなってしまう箇所はあるものの、
これぞ、信頼関係、という感じがしますね。

これで描かれる幸せの形は、ああ、本当に良かったと思えるものでした。
温かい繋がりが描かれている。

通常、何か起きたことを解決する時に、なんだかあっさりしているなって感じたこと、ありませんか?
この作品に至っては、登場人物の一人ひとりに至るまで、きちんと登場人物だけでなく、
こちらが納得できると思えるほど、それぞれがきちんと最後まで納得できるような描き方をしています。

これは、かなり高いクオリティです。
早々ないですよ。

システム負荷こそ高いものの、
今いるシーンが、どこまでの長さなのかスクロールバーが画面下部に表示されており、
バックログジャンプも軽快。
セーブファイルはとことん増やせるし、システム面での不安はありません。

しっかし、しっかりもののすみと、堅物風鈍感な透の子供が、
あそこまで奔放に育つだなんて……。
うう、プレイ中、なんどかイラッとしてしまったので、ほんとライターさんさすがだなって。

「うたれちゃーんえみだよー!」
「だって、マンだよ?おもちろいよ?」
このセリフ作りとか、すごいですよね。

ありすルートも、やっと幸せになれました。

繰り返しになりますが、プレイ前は、改変と思われたので、
それはもったいない、納得いかないと、反発していたものですが、
このHappy End、素晴らしい出来上がりです。
ハッピーエンドを描くためのキャラクタ追加、物語の追加、CGの追加と、
どこに力点をおいているのかがよく分かるし、それを迎えるための仕掛けがしっかりしています。
だからこそ、このハッピーエンドは、アリ。楽しかったです。

ここまでのクオリティの作品が出せるLOSEさん。次回作はどんなものでしょうか。

そうそう、「ものべの」の時にも思ったのですが、いいなと思うのが、
キャラクタの服装差分が多いこと、というか、シーンよって成長までありえるということですね。

にゃつは姫もそうですが、ありすにしたって、時間経過があるので、
どんどんスタイルが変わっていく。
おしゃれな子、という設定を、きちんと画面で表現できるというのは、すごい。

すみだって、見た目に変わらないように見えて、立場が変わっていくので、やっぱり違うんですよね。

時間経過による成長。
なかなか、ヒロインキャラクタが成長する機会がないゲームで、これは珍しいです。

そういう意味で、ヒロインのいろんな面が見られる。
これは稀有なゲームです。よかった。
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豪華版は特典がもりもりついてますね。

シンプル版買ったんですけど、3枚ディスク入れられるようになってました。
ヒロイン3人いるので、1枚ずつ。うん、いいね。

そうそう、追加配布されているシーンも豊富です。
>人気投票結果を元にしたHシーン合計10回を9月まで毎月公開中です!!
これがもう、豪華ですよね。ご開祖ちゃん……!