あざらしそふとさんの「アマカノ」感想です。
アマカノ


2014年12月発売作品。
あざらしそふとさんの「アマカノ」は、雪深い町に移り住んだ主人公が出会う、
3人のヒロインとの恋愛ADVです。

どんな導入だったかというと。

須賀川勇希が移り住んだのは、
雪下ろしなど夜間瀬町の日常が、祖父母の負担になるから。
その手伝いをするためだ。

現在、祖父母の家はささやかな下宿として、
一人の女学生を受け入れていた。

夜間瀬町は温泉街でもあり。
甘味処に女の子がいた。

そして、町でその名を知らない者はいない、高社神社の巫女姫が……。

というように、出会いを重ねていきます。

「アマカノ」はあざらしそふとさんのブランドデビュー作で、
足りてないところもあるけれど、落ち着いていて、ほっとできる。
そんなところがいいなと、体験版で感じました。

何より、オープニングまでのシーンの流れ。
コレは恐らく描きたい場面イメージがあって制作していらっしゃるのかな。
そんな期待を抱いたんですよね。


それでは感想です。
「アマカノ」、かなり満足できました。

まず、足りないところを挙げてしまうと。
ウィンドウなどのシステム面が物足りない。
CS2で動いているようなのですが、ウィンドウサイズが1024×768の固定。
変更は出来ません。

AUTOモードだと、一部ボイスカットされて進行しちゃう。
もしかしたら環境のせいなのかもしれませんが。

物語上で起きるイベントも、物足りないところはあるのですが、
それはそれ、として、堪能できました。
総合力、でしょうか。

とかく、ビジュアルと音楽のマッチングがいい。
雪を踏みしめるSEと、この背景と、この音楽。
寒さの中の、どこかほっとする暖かさ……すごく感じます。

それでいて、ヒロインとの恋が育まれていく姿。
うん、楽しかったです。

いや、でもですよ?気になるところはあるんです。

食卓が一緒なのに、お醤油の貸し借りとはなんだったのかとか。
雪下ろしを女の子一人でやらせる環境とか。
試練といいつつ他人まで使って色々ふっかけてくるお父様のこととか。
名前は変更可能ですが、自分としてみることができない主人公なので、
意味がないかなと思いますし。
ザッピングが発生しますが、ここぞという時で使っても良かったのでは、
というか切り替えが多くて、ありがたみが薄れてしまうのがもったいないなとか。

「凍てつくぬくもり」「寒夜」「吹雪」がかかるシーンでは、
曲のほうがシリアスさで勝ってしまっていることとか。

もう少し、その土地ならでは、のイベントがあっても良かったかな。
土地紹介になるようなこと、でもいいのですが。
また、ダウンロードによる追加シナリオ配信に、
登録が必要というのが、ちょっと抵抗感がありました。

コンセプトが甘えたがりの彼女、ということですが、
色んなタイプの甘えてくる彼女、という形式に、
ちょっと押し込みすぎじゃないかな、とか。
甘えてくる彼女、ともいえなくはないかなー、という部分もあったり。

特に、シナリオ上での雪関連イベントは、本当に危険なことも多いので、
気になりました。

とはいえ、ですよ。
画面の中のヒロインが微笑んでいる。
そのシーンを、画面を見ている自分も笑顔で見ていられる。
そういう、良い時間を過ごせる作品なのです。

グラフィック面はとても満足出来ました。
この、雪のある山奥の景色とでもいうのでしょうか。
それが背景面からよく伝わってきます。
それを元に、キャラクタグラフィックもよく、
こういうジャンルに合った、いい原画家さんだと感じます。

キャラクタ原画はピロ水さん。
うん。とてもいいですね。
この作品ならでは、という画面に仕上がっています。

背景は、chiki-coさん。
シナリオは、龍岳来さん。
音楽は、Peak A Soul+さん。

音楽がまた、とてもいい冬の景色を感じさせてくれます。
「深雪の巫女姫」は素朴な田舎の風景を、
「雪国の晴れ間」「暮雪に片寄せて」「雪どけはすぐそこに」あたりは、
雪景色を思えますね。

声優さんの割り当てもすごく良かった。
巫女姫の木村あやかさん、同じ住まいの聖先輩、こはるびよりの秋野花さん。
どれがいちばん!というのは選びにくいほどです。

なので、ビジュアル、声、音楽、舞台設定、キャラクタ設定など、
ほとんどの要素で満足しています。
こんな生活送りたいなぁ、と思えてしまいます。

「きっと悪い学生なのだと思いますが、だんなさまと秘密をわけあってると思うと楽しくて」
巫女姫(木村あやかさん)

このビジュアルで木村あやかさんの声。
呼びかけは「あなた様」ですよ?

巫女姫の名前を知ることができるタイミングがすごく良くて、
シーン作りがうまいなと思っていました。

積極的に関わろうとする主人公によって、
巫女姫様と呼ばれ、丁寧に扱われ、距離ができていた周囲とも、
親しくなってゆきます。

携帯電話の本当の使い方を、周囲が教えてくれたこと。
試練を与えていた父も、だんな様として認めてくれるようになる。
一つずつ嬉しいことが増えていく。
巫女姫自身が、変わっていくことに驚き、喜びをもって受け入れていく……。

彼女期間を通り越し、
全身全霊で、あなたを慕い支えてくれる妻、という感じです。

「ほら、これで……あったかですから」
星川こはる(秋野花さん)

温泉街の甘味処の看板娘。
元気いっぱいで、背が低く胸が大きいのが悩み。
和菓子作りの腕前は、父と遜色ないようですが、
洋菓子作りがとても苦手。

こはるは、看板娘、というだけではなく、学園でも結構人気がある。
中には、本当に付き合おうと考える人も……。

主人公も、その胸に目が行かないでもない。
それでも主人公は、他の人とは違う接し方をしてくれたり、
苦手な勉強も足並み揃えて教えてくれることに安心感があるのか、
他の人とは違うと感じていきます。

この、恋するまでの時間が楽しいですよね。
ええい、小悪魔め!ですね。
表情がくるくる変わって、みていて楽しい。
この子のセンパイ呼びからの抱きつきコンボは破壊力ありすぎます。

最終的には、身体のことも、苦手なことも、
ポジティブに捉えていけるようになるのですが、
あれかな、こはるびよりを二人で継ぐようになるのでしょうかね。
善哉とか大福、食べたくなりますね。

「過去は過去だし今は今……だ・か・ら、それよりも!」
上林聖(真中海さん)

主人公の同居人。
以前は、聖の姉が住んでいたので、この山ノ内荘に住むようになった。
こたつ、お茶、漬け物、りんごにみかん……、
この土地の冬を楽しんでいる。
学園でも美人で人気。
なんでも出来そうに思われるのが悩み。

住むところが一緒なので、家の手伝い、買い物を一緒にしたり、
雪下ろしを眺めていたり。

ここへ来て変わった、という、
主人公の姿勢に少しずつ興味を持っていく。

主人公に対しては、年上アピールすることもあるものの、
基本的には可愛い女の人、ですね。

あなたと呼ばれることになるのですが、
後輩君呼びもそれはそれで味わいがありますよね。

それはそれとして、
初回特典の色紙が、色んな意味ですごい。

そうそう、告白は自分から行うことが出来ます。
その、告白をあえてしないで、会いに行ったりすると、
お互いに様子を見合っていたりして、それがまた、いいんですよね。

次。
あざらしそふとさんに期待するとしたら。
恋をするシーンに重きをおいてほしい、なんて希望があります。
今回、ヒロインの誰とも知りあいではない状態でスタートし、
呼び名が変わっていくことで、距離感が近くなっていくことを表してくれています。

初対面。ここからのスタートで、どうやってつながっていくかに容量を割いて欲しい。
ここまで場面設定づくりが巧いブランドさんなら、
きっといい恋物語が読めるのではないか……そんな期待がありますね。

ヒロインは、増やさなくても良いと思います。
3人で十分、バランスが取れています。

この作品ってネタバレ耐性ありますよね。
各素材のクオリティが高く、それぞれが噛み合うからこそ、
というのがあって、何をどう書いても、味わえる体験に勝てるわけがないんですよね。

ところで。
この「アマカノ」の舞台は、実際の温泉地にあるようです。
湯田中・渋温泉という場所だそうで……。
山ノ内荘のモデル旅館、さらに、雪だるまを作った公園など、
訪問された方がいらっしゃいます。(thunder_lab様)

さらにこちらの方は現地でプレイという。(B2F様)
とても、いいですね。
たくさん温泉があるようなので……ちょっと興味が沸いてきました。

アマカノ
アマカノ

学生時代にしかないトキメキをあなたに。