3rdEyeさんの「ソーサリージョーカーズ」感想です。


”現代伝奇異能バトルサスペンスADV”、「ソーサリージョーカーズ」。
ある日、魔法が生まれた世界で、
少年少女たちが遭遇する”魔法”は、全てを変えていくのか――。

体験版をプレイしてかなり気に入ったので、割と即、予約を決めてしまいましたね。

では、感想です。
それなりにネタバレがあります。

4作目にして、傑作が出てきました。
一歩進んだエンターテイメント性を備えたと思えます。

正直、ですね。
体験版ですら1.63GBあったわけですけれども、
製品版インストールには8GB近くあったんですよね……。

そんなわけで、進まないかもしれないと思っていたのですが、
そんなことはまったくなくて。
まさかこんなにどんどん進められるとは思いませんでした。


最初に、悪いところ。
最後まで通してみると、最初のザッピングに本当に意味があったのか。
恐らく、様々なキャラクタの魅力を見せるだけ、ですよね。
それだったら、視点が変わるだけでよかったのかも。
わざわざ選ばせるほどの何かがあるわけではない、と思います。
構成の巧さは、感じましたけど。

テキストフォントがやや読みづらい。
シナリオを読むべき作品なのに、これは良くないと思いますね。
テキストウィンドウの調整でどうにかなるわけではなさそうです。
特にキャラクタ立ち絵からの吹き出しが読みにくいようでした。

システム、コンフィグがいまいち。
セーブにかかるクリックが多い。OPTION→SAVE&LOAD→セーブ箇所選択→SAVE→確認。

できればバックログジャンプも備えてくれると嬉しいですね、この作品の場合。

それと。主人公キャラクタの陸壬陽斗(ますおかゆうじさん)と、
センリ(やじまのぼるさん)ですけど、声、非常にいいですね。
パートボイスなんです。できればフルで入れて欲しかったですね。
そのほうがより、物語を楽しめたと思いますから。


それと。一番はこれ。
惜しむらくは、グラフィック。
場面あたりの描写がどうにも弱く感じてしまいます。

ここさえよければ、もっと展開に合わせて迫力が出せれば、
悲劇の時にはもっと悲しみを、凄絶さを、逢瀬の香りを、グラフィック面から出せれば。
そうすれば、完全に伝奇モノ、トップクラス作品でした。
本当に、ここが惜しい。

もうね、音楽とシナリオはすごくいいんです。
さすが、サントラついててよかった!と思う出来の音楽ですし、
シナリオ展開は熱血も救いもあるし、面白い。
なのに、特段悪いわけではないけれど、バトル展開やシナリオを描くには物足りないです。
シナリオに、明らかに負けている、とでもいうか。


その、シナリオですが。
最初にすごいなと思ったのは、最初にセンリがその力を見せた時。
「で、その”絶対”ってやつは、いつ拝ませてくれるんだ?」

社会の隙間にいた白髪の青年が、震えるような見せ場を持つのと同時に、
様々なブラフを仕込みつつ、バトルシーンは些かも失速しない。
むしろ、トップスピードのまま、相手を圧倒する。

そして、2ndオープニングへと至る。
敵は敵として顕現し、勝利はしたものの、情勢は敗北している……そんなワンシーンでした。


作品全体を通してみると、ちょっと表現が気になるところも全くないわけではない、ですが、
もうこの展開の時点で、他の伝奇バトル作品より、上を行っているような気がします。

王道の良さを持っています。
主人公が苦難を乗り越え、悪を打ち倒す。
そのための要素は、魔法というファンタジーだったり、ブラフめいたサスペンスだったりと、
要素を惜しみなくつぎ込んでいますが、大丈夫、普通に楽しめる作品です。

やや、陽斗より、センリが格好良く見えてしまうのは、仕方ないとして。
仕方ないんです、陽斗は……。
だって、しょうがないじゃないですか。
その設定から、鈍感に仕上げる他、なかった。
そうじゃないと、うじうじし続けるか、今度はセンリと被ってしまうし。

ラストボス、という表現でいいのか分かりませんが、
ややステレオタイプの相手で、ちょっと残念だったかな、という気持ちはあります。

それと、サスペンスでありたいからか、実はラストボスと会っていたというのも、
ちょっとオーバーかもしれませんね。
とはいえ、今作はこの方法を割と使用しているようですね。

あと、呪文が何気に良い。
「峰峰に 畏敬を抱く かくれんぼ」
「銀世界 凛と従え 不足なく」とかね。
とくに術者が彼女だから、というのはあると思いますけど。
妙に残りましたね。

ヒロインキャラクタも魅力的です。

「センリが決めて」というノア(杏花さん)は、
作中は足下がおぼつかないようなところもあったように見えましたが、
把握違いですね。

ずっと、芯の強さを持っていただけなんですね。
だからちょっとしたことでは揺らがない。太い樹のようでした。

徐々に感情を憶え、溌剌とした表情になっていくのがいいですね。

そこから、彼女が大事だと思うことは、
明るい声のままで、ずっとそれを押し通した、というころに、魅力を感じます。


そのキャラクタは、平和になっても輝いているように見えます。
ノアだけコピペネタが多い様に思うのですが、声のせいでしょうか、全く不快に思えません。
というか、何度か吹きました。

力の抜けた「げに~?」とかも、結構好き。


神前・フィオナ・アンナベル(桃井穂美さん)
教会の、どこか抜けたようなシスターでしたが、
体験版後半からでも、少しずつ別な表情を見せるようになっていきますよね。

このキャラクタの見どころは中盤から。
そりゃ、そういう生い立ちであれば、呪縛から逃れるには、
恩師がどうにかなる、だけでは足りない……楔が打ち込まれる程度。それでやっと。
そこから少しずつ……という呪縛の処理の仕方がいいですよね。

後半ですが、
「センリは自分のやるべき事を終えたら、どうするつもりなの?」
「……冬が終わりを告げたなら、後にやってくるのは春だろ」
センリとのパートナーに、完全になったと思える、このフィオナが凄まじくいいですね。

なんていうか、フィオナは、一人でもずっとやっていけるような強さはあるし、
センリを圧倒しながら迫ってくることもあるのに、
それでもセンリにグッと抱きよせられると、急に女の貌になって受け入れてしまう……、
そんな、ヒロインらしさがあるように思えました。
イイ女、ですね。


テキスト面も面白い表現があったと思います。
けれど、変に何かを貶めるようなところもないですし、王道もちりばめてあるし。
でも、そうですね、センリのビフォアとかは、あってもいいのかも。

エンディングもさわやかで、すごくよかった。

大作なのに、最後まで楽しめた。
これは、プレイする価値、かなりあると思いますよ。
ブランド次回作も期待しちゃいますね。
ソーサリージョーカーズ
ソーサリージョーカーズ


そうそう。初回特典としてオリジナルサウンドトラックがついていますが、
曲名が不明です。
で、製品版にもクリア後にMUSIC LIBRARYがあるので、これと照らし合わせてみたのですが、
どうも、製品版にはあって、サウンドトラック未収録曲があるようですね。
恐らく3曲くらいは入っていないと思われます。
歌曲がshort verしか入っていないものもあったりして。
このあたりは、いつかどこかで補完してくれる予定があるのでしょうか。

とはいえ、歌の入っている曲も、そうでない曲もクオリティが高いですね。
印象的な曲が多いですよね。
バトル曲もこれだけあったんだなぁ、と思ったり。
「清く正しき行い」やバトル曲などを聴いていると、サガフロンティア?なんて思ったりもしちゃう。
でも、公式サイトでも聴ける「魔法のある日常」は名曲だと思いますし、
「Unreal Color」や「Crystal Begging」はこれからはじまる展開にワクワクしますし、
「Thaw Song」は、辿り着いて良かったと思える……。

すごく物語を盛り上げてくれたし、良い曲ばかりでした。