ensembleさんの「恋する気持ちのかさねかた」感想です。
『恋するきもちのかさねかた』2015年11月27日発売予定


"運命の赤い糸はあなたと繋がっていますADV"、「恋する気持ちのかさねかた」。
お嬢様キャラクタが登場し続けるensembleさん、
今作では主人公が大企業社長、そして学園理事長の弟という設定になっています。

どんな物語だったかというと。

主人公、皇城蓮の兄が理事長をする、清桜学園が、白羽学園吸収統合する。
皇城は巨大だが、少子化の影響は一企業グループでどうにかできるものではない。

蓮は、学園で学生会長の月島沙織の手伝いをしている。
学生会役員ではないことと、沙織個人の手伝いという体であるため、
当初は「お似合いカップル」などと誤解されたものだ。

理事長から、合併に関する生徒間の心情を集めてくれと指示される。
これは、合併先の白羽学園学生会長、鏑木由希江と一緒に進めていくことになった。

蓮の周りには魅力的な女性が多い。

連を慕い、学内カフェテリアでアルバイトをしている久遠寺ひより、
白羽学園寮に住み、寮を大事に思う柊美桜、
白羽で、人数の少ないビーチバレー部活動をしている鳴海朱子、

両学園の学生会長とも、仲が良い。
そして、義理の妹、皇城一花とも。

……実は、今回の合併に伴い、兄の皇城凜と、柊美紀が結婚する。
あれだけ周囲に厳しかった兄が、すっかり変わったように美紀さんとの関係を育んでいる。
蓮は、ふと思う。
自分も、大切な誰かができたら、そうなるのだろうかと……。

……という導入です。

では、早速感想を。

共通パートが短く、しっかりまとまっていて、ルートへの導入がスムーズです。

合併予定という、差し迫った状況であるためか、共通ルートで日数を減らさない、
なのに、それなりに面白かったのは、良かったかも。

ただ、そこから先、各ルートの長さと密度は、どう考えても足りない。

キャラクタ数が多いプラスの効果は、学園に起きる様々な影響を見ることができること。
こんな風に困っている、問題を抱えている生徒がいる、というのがわかるのこと。
各個人が抱えられる問題って、決まっていますから。

ただその、困ったことが、なんていうんですかね。
非常に子供っぽいというか、安直。
冒頭の前提、合併という経済問題だけではなく、政治的であったりすることから広げて考えても、
あれ、なんでそんなものが出てくるの?というか。
え、それなの?と思ってしまいます。

起こる問題には上下はない。
それはそう思うんですが、それにしても、ちょっとくだらない。
かつ、深刻さが足りないと感じる。

登場人物の誰かが、自分の意識を拡大させていて、
それに巻き込まれているような事案。
そんなもの、さっさと処断して次へ行くべきなのでは?と思ったりするくらいのもの。
なのに、何故か登場人物たちは、それに巻き込まれ、引き摺られてしまいます。

もしかしたら、単に表現が足りなくて伝わりきっていないだけなのかもしれないけれど。

そんな問題に引き摺られているキャラクタ達も、なんか悪く思えてしまうから不思議ですよね。
近視眼的で、即物的。

キャラクタと主人公が介するだけのシナリオ、例えば隣の生徒会長であれば、
全く問題ないのですが、それ以外のキャラクタが絡むと、急に。

問題が他者から持ち込まれるというのは、
その問題や他者が魅力的であることが必要だと思うんですよね。
ちょっと欠けてたかな。

もしやるんだったら、もう少し振り幅大きくてもいいと思います。
事態が収拾つくのかわからない!と思うくらいに、こじれるとかね。
リアリティを感じさせてくれるとか。

月島沙織も、久遠寺ひよりも、周囲の環境が良くなくて、
ヒロインの魅力がよくわからなくなってしまいました。

月島沙織に至っては、実は怠惰という設定も活かされませんでしたし。
代わりに、主人公が何故か無縁の相手に対して勝負を挑む展開に。
このルートの主人公は行動が幼いのですが、
沙織の親戚を見ていると似たようなものに感じて許容できてしまう。

ヒロインたちの行動も違和感を感じるものもあります。

柊美桜は、寮を守りたいという発言はしますが、こうすれば守れるという確信がなかったようですし、
屋根を自分が直そうという行動には首を傾げます。
体験版では美桜が一番長くルートを味わえたわけで、
あの時点で気づくべきだったのかも知れませんけれども。

発売前は、結構えっちですよ、というアピールがブランドさんからはあったように思います。
その担当はきっと、鏑木由希江(秋野花さん)なのですが、
やや、ビジュアル頼みだったかな、とも。

そう。ビジュアル。
きみしま青さん原画、ensemble彩色。すばらしいですね。
本当に堪能できたのは、この画面だと思います。
立ち絵から、イベントCG、立ち絵差分の服装までも。
良いデザインで、キャラクタがかわいい、かわいい、美人、かわいい、美人、かわいい。
かつ、美人キャラクタでもフェミニンな服装デザインに仕上げてあったりして、
もうなんていうかすばらしすぎます。

鳴海朱子(有栖川みや美さん)は、日頃は男勝りの雰囲気がありますが、
私服がとことんかわいい。
かつ、ビーチバレーは水着でしますが、その上にパーカー羽織ってたりして、
これまたすごくおしゃれかわいい。

あとは、由希江さんの私服タイプ。
2つあるんですが、大分雰囲気変わりますよね。
デザイン、本当に練られているな、と強く感じます。

ほんと、ビジュアル面は大満足です。
ここまでのクオリティを持っているブランドさんは、そうそうないと思います。

音楽も素晴らしいです。
新生活、はじまる、といった感じの2ndOP、Ducaさんが歌う「かさねた気持ち」も素敵。

であれば。あとはもう、シナリオ部分。

各キャラクタの設定であるとか、導入の合併問題であるとか。
なんだか、きちんと消化できていないと思うのです。
なので、いっそ3人くらいにヒロイン絞って作って欲しかったかな。

「恋する気持ちのかさねかた」
すごく良いタイトルじゃないですか。
なのに、タイトルを語れていない…というのはちょっと、がっかりです。
恋する気持ちのかさねかた 初回限定版【予約特典:きみしま青氏描き下ろしイラスト付き色紙4枚付き】
恋する気持ちのかさねかた 初回限定版【予約特典:きみしま青氏描き下ろしイラスト付き色紙4枚付き】