minoriさんの「トリノライン」体験版プレイしました。
minoriさんの新作は「トリノライン」。
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弱視だった娘を亡くした、七波の家は、
それ以来、時が穏やかに過ぎていく。
家族はぎくしゃくした。けれど、時は止まらず……、亡くしたことは還らず……。
次第に、穏やかなものになっていく。

七波舜は、あの夏の日から心を殺したまま……、
強く思い出す時には、その夢を見た日には、浜辺に来る。
彼女は、ここで亡くなった。……妹の白音は。

潮騒の音を打ち消すように、幼なじみの宮風夕梨が呼びに来る。
少なからず、心配してくれているのだろう。

その夕梨が、共通の知人の話をし始めた。

「今朝のニュース見た?沙羅、また凄いものを発明したみたいね」
共通の幼なじみである紬木沙羅は、この島だけでなく世界的に有名人だ。
介護や育児に活用されるアンドロイド開発の第一人者として。
救助用アンドロイドの開発は、島の事故率を減らすことに大きく貢献している。
だからか、島民から、世界を変える発明をすると、期待されている存在になっている。

そんな存在になったから、というわけではないが、もうずっと会ってはいない。

学園に着くと、その沙羅が学園に復学してきた。

舜はあの夏から心を殺して塞ぎ込んで過ごしてきたし、沙羅とも音信不通だった。
だから何を話して良いのか分からないけれど、気づけば舜は動いていた。
勢い込んで舜が呼び止めると、沙羅は、昔遊んでいた共通の場所を指定してきた。
「”鳥かご”で待ってる」――。

今では厳しいセキュリティが施されている、大きな鳥かごめいたものがある場所で。
幼い頃は、沙羅と二人で夜の星を見上げていた場所。

そこで、沙羅は。
「また、あの日々を始められる――舜と共に」
そうやって、魅力的な笑顔を見せた……。
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体験版は、1.73GBでした。

今回は原画がきのこのみさんが入っていますね。
minori作品にはすごくはまっていますね。

んんー。
毎作毎作、何か新しい驚きを与えてくれるminoriさん。
進化した、という印象は抑えめかなと思います。

作品作りの志向性は変わっていないようです。

minoriさんは、すごく重たいんですよね。ストーリーが。
重たくて、プレイしていると必ず1回はダメージを受けて、
そして、その痛みは製品版をプレイしていると、また負って。

辛いんです。
なので、プレイするのが後回しになり気味。

でも、その辛さが良いんですけどね。


今回の痛みは、知っている存在に似せたアンドロイド。
亡くなった妹の白音に似せた、”シロネ”。
アンドロイドしての名称は、トリノ。

見た目や動きからは、人以外のものとは、認識できない。
そして、亡くなった七波白音の記憶を保持して、
そのまま成長させた姿をしていること。
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それに、やっと家族が慣れて、少しずつシロネも成長して、非常にらしくなってくる。
そして、気を許せるようになってくる。
君、と呼んでいたのを、シロネ、と呼べるように。
そして、シロネの気持ちまでもが育ち、
――そこで、シロネがリセットされる。

好きな人が記憶を失う、というものに近いところはあるかもしれません。
でも、単純にそういうことではないのが、家族ぐるみの話だということ。

心の違和感を超えられず、母の馨は、倒れてしまいます。

そこをしっかり表現しているところに好感が持てます。


とても腑に落ちない、引っかかり続けているのは、
トリノを開発した天才、沙羅は、何故、それで白音の代替をさせようとしたのか、です。

シロネを与えれば解決する?どうしてその考えになってしまったのか。

現象をはっきり認識しないといけなかったですよね。
開発は長い。長いので、本当にこれでいいのか、何度も思うところです。
繰り返し確認してしまうところです。
まして、思いをかけた相手、舜のためだったのなら、なお。

全てを絶って、開発にかけた。
そこがよくわからないんですね。

しかもそれが、誤った方向に進むのは、
様々な文献を当たれば、それはわかるはず。
不気味の谷があります。

人は、人の成長が必要なんですよね。
受け入れるだけの。
少しずつしか伸びていかないんです、人は。

その結果が、母の入院という事態を引き起こす。
そこでシロネをリセットすれば、周囲の人々に大きく影響を与える。

亡くなった、悔いのある相手を想起させるアンドロイドを与え、
亡くした時の悔いも、少しずつ癒やされはじめたころ、奪っていく。

与えないより悪い。そう思います。
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だからすごく不思議で。
この違和感がずっと体験版をプレイしてついて回っていて。

この展開の可能性に思い至らなかったということが。
頭が良い方のようなので。
舜を幸せにするというのなら、亡くなったモノを補充することではなく、
別な行動で解決できるんじゃないかということ。
そう、自らが癒やす、です。

その代わりに別なモノを押しつけ、重大な選択を迫っていく……、
それは、幸せに向かうものなのか。
この気持ちを解消してくれる展開が待っているのかどうか、ですね。


AIについての研究が近未来というか、現実世界で既に登場しているために、
ちょっと気になるところですね。

こう受け止めているということは、
もう既に、沙羅のことを知りたくなっているということですよね。
不完全こそが人間。
興味を惹かれています。
この手で未来を掴み、自らの願いを叶える。
ただそれだけを考え、生きてきた。
最初のモノローグも、どんな思いをかけたものなのか……。

繰り返しになりますが、上手くいかない可能性に気づいていない訳がない。
現在の沙羅が本当の意味で求めているのは、なんなのか。
とても知りたく思います。


空間、音楽の使い方がいいですよね、本当に。
今回のお話は、重く感じるので、ピアノの音が、鍵盤が空間に響くように感じられます。

難しい物語を、支えてくれていますので、サウンドトラック付きがいいかも。

キャラクタとしてみていると、シロネを演じる要しおりさんが良い感じです。
わんこ的キャラクタなのですが、それを上手く演じてくれています。
「自分じゃない自分がここにいて……」
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公式サイトにあるように、”WILL MOVE”なんですよね。
止まっていた時が動き出す……。

そのための、すべて。


2017年3月31日(金)発売予定です。

今回も豪華版のほか、さらに公式サイト直販版”トリノEDITION”もあります。
このトリノEDITIONすごいですね。マフラーが結構いいかも。
……ハンドキャリーでお届けタイプもすごい。


こちらはシンプル版。豪華版と違い、サウンドトラック、小冊子がついていません。