Digital Cuteさんの「タンテイセブン」感想です。
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2017年6月発売作品。

デジタルキュートさんの「タンテイセブン」は、
幼い頃に不思議な壺の底を見てしまった彼らのその後、
すこし疎遠になってしまった7年後から始まります。

日頃は、遺産として残されたビルの屋上にプレハブを作って生活し、
学業以外は観光客相手の人力車のバイトをし、
食事は幼なじみにお世話になり、
そして、後に、シナスタジアグラスと仲間内で名付けられた、
相手の感情を見たり、表面上は見えない何かを探る”心眼”を使い、
主人公の比婆蛮悟は、浅草の町で過ごしていきます。

原画はこうぐちもとさん、えきもちさん、Autumnさん。
シナリオは、嘘屋さん、佐々木酒人さん。
音楽は、碓氷悠一朗さん。

それでは感想です。少しネタバレあり。



最後まで終わりました。
結構ボリュームがあったなぁ、というのがまず感想としてひとつ。
それと、結構のめり込んでしまったなぁ、というのがもう一つ。

ええ、面白かったんです。すごく。

唯一良くなかったのは、システムアップデートが相当必要だったこと、でしょうか。
それこそ、最初のバージョンではクリアできませんでしたから、
発売日に楽しみにされていた方はとても困ったと思います。

現時点で1.5.1バージョンまで。

最終的にはアップデータダウンロードに%表示だけでなく、
バー表示もされるようになりました。
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未だ誤字であるとか、音声ミスであるとか、色々ありますし、
エピソード間の細かな整合性まで修正しようとすると相当なオーバーホールが必要になりそうですが、
今のバージョンでしっかり最後まで堪能できます。

セーブファイルが少し足りないとか、サクサク遊べるコンセプトのための、
シナリオがぶつ切りになるのは仕方が無いと思います。

でも、それらを補ってあまりあるほど、この作品は凄いと思います。

ミステリ・オカルト・サスペンス。
食、浅草、現代で起きているゴシップ。
そして、彼らの登場人物達のこと。

しっかり下調べの上、もう本当にうまく煮詰められています。

最初はそれこそ、体験版をプレイした時では特に、
ここまでしっかりした展開のある作品だとは思っていませんでした。

どちらかといえば、「オトメスイッチ」のイメージがまだ残っていて、
どうしても後味の悪い作品なのかな、と身構えてしまっていました。
でも、それでも購入に至ったのですけれども。
そんな心配は要りませんでした。

中途半端に終わる肩すかしな箇所はありませんし、
どれにもこれにもオチが付けられています。

全てに、”ケツを持つ”形になっています。

浅草という場所には行ったことがありますが、
きちんと下調べして、現地に合うようにしていますよね。

人力車バイトでも、色々起こります。
客が振り回してくる。仲間の許(ホイ)さんから見た日本人。

不意に事件は訪れるもので、不意らしく、そこからは来ないよなと思わせることが必要ですが、
それにも成功しています。

一方で、登場人物に犯人がいる、という、
サスペンスのお約束はしっかりしています。

また、ミステリの奥深さには舌を巻きました。
よくそこまで詰め込んだなぁ、という感じです。
正直、プレイ期間中、夢に出てきました。あそこ。
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ここから見える、あそこですね。

寺だけではなく、ちょっと変わった場所。

浅草という場所は、合羽橋で調理器具を仕入れたり、
喫茶店、古書店もあります。

また、食に対するこだわりも本当に凄いですね。
何をどんな風に作っていくのか。作るのか。
突発的ステーキフェア、鶏皮煎餅、贅沢出汁粥は、本当に美味しそうですね。


さて。キャラクタ。
登場人物は40人以上というのが公式サイトにもウリとして挙げられていますが、
多くのサブキャラクタに声が入っていますし、
そのおかげか、凄く説得力が高く、物語を味わいやすいです。
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やっぱり、男性キャラクタ、それも年上キャラクタにちゃんと声を入れたのは、
凄く良い判断だと思いますね。


また、声の入っていないキャラクタにしても、登場してからあっさり出てこなくなるということも無いですし、
きちんとエピソードを持っています。

だから、どれくらいこれから先があるのか、少し不安になるほどでした。

その上で、タンテイセブンとなる、タイトル画面にいるメインキャラクター達には、
本当に深いところまで入っていきます。


最初をこそ、蛮悟のために部活を作るなんていう身近なドタバタ。
それが周囲を巻き込んだり巻き込まれたりして、どんどん大きくなっていって。
キャラクタたちの過去も未来も掴まれていってしまいます。

人物同士の繋がり、組み方、設定の練り込み。
すごく上手いと思います。

全てのオチを見ていると、ああ、それは確かになぁ、とか、
ああ、それはダメだろうなぁ、と思えるものばかりです。

例えば比婆兄のこととか。
あの家のこととか。
キャラクタたちは、それこそ勝利してはいないのに、読後は凄く納得させられます。
それに対応する海老一社長もそうですよね。

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振り返ってみれば、浅草という地に足を付けて、でも広く飛び出していったように思います。
少なくとも、プレイしていると、立体的な広さを感じました。

場面は浅草。
だけれど、縁故地というものはある。
サスペンスものならでは、だと思うんですよね。

確かに途中、描かれるところは嫌な場面もありますが、
でもそれって、現実でも同じではないですか?
どちらかといえば、デフォルメされたリアリティを感じました。

人間だって、そんなに簡単じゃ無いですよね。
萌えは少ないかもしれないけれど、すごく趣がありました。

色んな意味で心臓に悪いというか、そういうお話ですから、
もう一度プレイするのは勇気が要りますが、
なかなか味わえないシナリオだと思いますから、ぜひ。


グラフィック、音楽。
どちらも凄く良いですね。
どちらが、といわれたら、ここは音楽に軍配を上げたい。
すごくオシャレ。音が鳴っていると気になる。そんなジャズ風の楽曲が目白押し。
「Blue Note Seven」「A Morning Page」「Glitched Emotions」「Fight It Out」「End Of The Story」
……良い曲ばかりです。


あと、蛮悟の声が結局、シナスタジアグラス使用時の「ここだ!」しか無いのがちょっと残念でした。

露梨子かすみ(手塚りょうこさん)は、中盤、相手するのが少し疲れました。
が、何かあるんだろうと、うまいこと思わせ続けてくれましたね。
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あ、染子染美は結構好きでした。
「染子ゆーな」
「染美ゆーな」
本当のお名前は海老一真珠(唯香さん)、海老一辰砂(美咲桃子さん)