QUINCE SOFTさんの「もののあはれは彩の頃。」感想です。
2017年9月発売作品。

「もののあはれは彩の頃。」は、”和風すごろく体感ADV”、とあるように、
ゲームをプレイするとすごろくが始まる、
珍しい雰囲気で、かつ、ちょっと変わったアプローチのする作品でした。


体験版をプレイした時では、ここまでとは思わなかったです。
ええ、ちょっとびっくりしているほど。

それでは、感想です。
ネタバレは、ほんの少し。



いきなりですが。
すんばらしい作品でした。

いやー、やってくれましたね。9月作品で手を出した3つめはこちらです。

面白かったんですよ、すごく。

あれ、どういうこと?
あれれ、どういうこと??
えっと、なにがおきてるの?
からの、おお~、という感動。

ものすごくざっくりしていますけど、大人しい雰囲気と、可愛らしいグラフィックからは、
全く想定しない流れでした。

これ、QUINCE SOFTさんって、Lump of Sugarさんの分家みたいなものだと思うのですが、
うん、これは本家を超えたかもしれないくらい、楽しませて貰いました。

ななろば華さんのキャラクタ、合わせた彩色、どちらもすごくよかったです。かわいい。
かつ、配役もすごく良い。マッチ度合い高いです。
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正直、クレアルートで、クレアが迫ってくる場面は、ちょっとドキッとしました。
琥珀もすっごくかわいいですし、
みさきは、真っ直ぐな気持ちが心地よいですし、
京楓は、そうか、良かった……ですし。
各ルートで、魅力をしっかりと引き出してくれたのが、すごく良かったです。


シナリオの進行を、しっかりと演出してくれたことが素晴らしい。
例えば、ADVって、通常、選択肢です。

その選択肢をどうするか?これは悩ましいところですが、
それをこの作品は、挑戦してくれたわけです。

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サイコロ、です。
サイコロで選ばれる選択肢。
作品内容に合致した、素晴らしい提案だと思います。

しかし実際には仕掛けがあるんですが……

そういう意味では、「恋想リレーション」「運命線上のφ」に近い志向かもしれません。

その上で、どうしてすごろくが?とか、
どうしてすごろくに?とか、緑マスの幻日は何なのか、とか、
一体誰なのか?とか、
本当に様々な謎、伏線について、全て決着を付けてくれているんですよね。

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伝承、京の町。様々な要素を用いつつ、魅力的な進行にしてくれました。

彩るビジュアルもすごくよかったです。
背景、すごくきれいですよね。

「でもさ、それって、超ラッキーだったってことなんじゃないの?」
野々宮京楓(三暗あん子さん)は、
盤面で、主人公を追い続けることになります。
彼女がいなかったら、きっと物語は起こらなかったくらいに、
本当に力強い存在です。
食いしん坊キャラクタに育ってしまったけれど、それもまた魅力。
そういう間柄でなかっただけ、意識すると一気に進むのも、
意外と気持ちをじっくり育て上げてしまったからなのかも。
でも、シナリオ上で、もう少しだけ、力を掛けてあげて欲しかったかもしれません。
公平、公正。そう思った理由があると思うんですよね。
ただ、最後の方で、すごく主人公を理解してくれた一言は、
まさに、京楓ならでは。


「でも、だけど――それでも!私が私として生きていくためには、もう一度――!」
鬼無水みさき(相模恋さん)は、
どこまでも、どこまでも真っ直ぐで。
みんなで仲良く。誰も抜け落ちず。
その思想は、主人公と相反することもあります。
そして、幻日を見ることが無いのは、何故か。
思いの根幹は、実はとても根深いものがありました。
恐れも、誰もが支えたいと思う、そんな気持ちも。プレイしていて、伝わりました。
相模恋さんが好演。


「……寝てるんだ。じゃあ――なに喋ってもいいよね」
クレア・コートニー・クレア(橘まおさん)は、
運も良いし余裕のある雰囲気が続きますが、
だからこそ共闘を申し出た時は意外でした。
面白い合縁を使うので、それも重要な要素になっていましたが、
何よりクレアルート、覚悟を決めた彼らの手は、すごく痛快でしたね。
ビジュアルのバランスの良さはびっくり。


「ボク……もうひとつ、怖いことがあるんだ」
琥珀(白雪碧さん)は、すごろくの進行に謎があって、
何が起きているのかと思いました。
ルートらしき進行は無いのかと思っていましたが、
すごく重要な要素を持って、現れてくれました。
一緒に居ると、マスコットのようにかわいいところもポイント。
表情差分の三角形口がまたかわいい。
みさきのことを報告する時の哀愁も、
アフターの発情期とかも、すごく良かったですね。

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クナド(奏雨さん)も、面白い存在でした。
まさかの、というキャラクタでもありましたね。


唯一どうかなぁ、と思ったのは、体験版でも感じたとおり、
男性キャラクタのデザインです。

もう少し、主人公に惹かれる要素があってもいいので、
ビジュアル面でもう少しサポートして欲しかったです。

これだけたくさんの伏線や仕掛けを用意して、
それらを見事に回収して、
かつ、ご都合主義とは思わない……、すごいですね。


素晴らしい作品でしたよ。おすすめです。