ALcot Honey comeさんの「彼女は天使で妹で」感想です。
2017年10月発売作品。

ALcot Honey comeさんの「彼女は天使で妹で」は、
一年間に天使候補生として見初められた仁科優紀が、
その立場を一変させられ、イレギュラーとして黒き翼を得ます。
しかし、目指すのは変わらず、神との謁見。
「今の神に会って、僕の疑問をぶつける」
ki9

体験版では、一通りの流れで関係性などを整えてくれました。

それでは、感想です。
ごめんなさい。すごく、ネタバレしてます。


体験版をプレイした時点では、少し引きが弱いかなと思っていましたが、
本作はとても素晴らしかったです。

何よりも。
話の流れがすごくうまいなーと思います。
いわゆるTrueがある物語です。
なので、最終的な結論というか、物語の流れは、そちらに集約されていきます。

辿り着く途中に、他のヒロインのルートがあります。
となると、構成上、他のヒロインのルート、味が薄くなってしまうことがあります。

それが、無いんです。
不思議なくらい。

各ヒロインルートの終わり方にも、とても気を遣っています。

それを成し得ているのは、選択肢の妙。
これはしてやられたな、という感じです。
ki11
現役アイドル、高橋美亜。
担当された明日葉よもぎさんには、 でも楽しませて頂きましたね。
これからが楽しみな方です。


こういう攻め方は、これまでALcotさんには、無かったように思います。
問うんです。主人公に。そしてプレイヤーに。

この時点で、ヒロインに思い入れができているので、
どちらを選べばこのヒロインが幸せになるのか、
そして、「お前は、これで満足か」と。

それは、どこかにいる神から出された問いのよう。

そんな連想ができる時点で、すごくうまいと思います。


こう、読ませる。
続きが知りたいとクリックさせてしまう。
この時点で、すごく成功していると思うんですよね。

先が何となくわかったとしても、
どういうことなのか、気になってしまう。
そんな形でクリックを続けてしまいましたね。


ただちょっとだけ気になるのは。
音声ボリュームが抑えめでは?ということでしょうか。
他のブランドさんの作品に比べて、音量が、というか。

ver.1.01でも誤字脱字がまだまだあるのですが、
それはさておき。

音声は結構大事なところだと思いますので、
収録の際、またはミックスの際に気を付けてほしいかなと思ったり。

あと、セーブファイルやっぱり足りないです。
このヒロインのこういうところがいいなぁ、と思ったらセーブして、
あとで呼び出して見返したいので、
もうちょっとあると嬉しいなと。

ちょっとしたモノローグ。
そういうところに、ヒロインの感情が集約されていたりして、
気になっちゃうんですよね。

「はあ~~っ……。天使でアイドルで妹かあ……強すぎでしょ……」
ki10


ネタバレ的なところなので伏せますけど。

後半の、ミライさんの感情の発露。壊れかけてくる所とか、
結構ぐっときますよね。
きっと、あの子だって守りたいものがあるんだな、と伝わります。


今回は主人公も結構頑張ったなと思いますよ。

云われたかった言葉。
気づいてしまったアイの心の裡。
そして、両親への気持ち。

ルートロックもありますので、
アイドル高橋美亜、死神相羽一海、幼なじみの源恵里那と進めましたが、
いよいよ親と向き合う、という場面の時は、ぐっときました。


そして、イケメン王子にも。
ki12
神無月涼(深川緑さん)。
BでLなネタも良かったですが、この真面目のためにあったんですよね。
守りたかったんだと思います。この日常を。
だからそれがどうしたら一番良い状態なのか考えた上での、日頃の行動。
時折見せる気遣いの深さとか、ほんと格好良かった。


ki13
仁科十花こと、天使長エレーン。
羽鳥いちさんはすごく好きなのですけど、ブランドさんの志向か、
同じようなタイプの方の演技をするよう求められている印象が拭えなくて、
配役としてはちょっと残念だったかなと思います。

だってこれ、そのまま過去の駄妹役の方に、置き換えられますよね?
羽鳥いちさんだからできること、じゃない気がします。
でも好きですけど。


最後の選択は、どう、問うべきか。

全てに、存在を忘れられた世界。
ある意味、アカシックレコードに記述を抹消されたのと同じ状況です。

これで本当に良かったのか?

非常に悩ましい問題です。難しいです。
もしかしたら、人の身には過ぎた難問であるのかもしれません。

正直いえば、一人になり、寂しくなってしまう仁科優希に、
その役目が務まるとは、思えません。
天使長との出会いは、それこそ、アイされていないと、気づいてしまったからなので。
早晩折れてしまうのではないでしょうか。

優しい親友が、そうであったように。


でも、救いたかった、すべての存在を。
その思いは崇高なものだと思うのです。

「君たちは、救われていないじゃないか」

謁見を申し込もうとした、神も、同じだった。
なら、自分の取る選択は。
そう考えた仁科優希の思いは、尊いものだと思います。


ある意味、親友がミライに言い放った、大いなる欠陥、欠けたものを、
仁科優希は、備えているのかもしれませんから。

痛くても、辛くても、たとえ、脆かろうとも。
それでも一歩踏み出す。
それは、無謀かもしれないけれど、勇ましい心です。優しい心です。

絶望が待つ選択なのかもしれない。それによって得た希望かもしれない。
それでも、煌めく世界を、すべての存在に。

ki14
(月野きいろさんだとは最後まで気づきませんでした……)


だから、残された者たちは、折り合いを付ける。
去ってしまった昨日達に、永遠のさよならを告げて――。



有り難いなと思ったのは、
サウンドトラックが付属していたのですが、曲名がCD裏面に表記されています。
わかるのがすごく嬉しいです。

ラストでかかる、”全ての命に祝福を”。
本当に優しくて優しくて、……やさしくて。