シルキーズプラスさんの「バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~」感想です。
シルキーズプラス A5和牛 『バタフライシーカー』
バナーは本編のものです。

2018年8月発売作品。

シルキーズプラスさんの「バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~」は、
”クライム・サスペンスADV”「バタフライシーカー」のファンディスク。

体験版等はリリースされていません。
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訪れた春は、万年、白に包まれた白織市にも変化を与える。
雪は去り、街の木々に緑が映えるようになった。

分析に秀でた氷室千歳は卒業し、大学へ通うようになった。
遠野圭介と天童優衣は最上級生となったため、
ムシクイ部長は、刑事を志す早乙女羽矢が務めるように。

ムシクイは、異常心理殺人事件の多い白織市警察が編み出した、
人手不足を補うため学生捜査員によって成る組織だ。

昨年末、大掛かりな事件を解決させた。
メンバーは、これまでの事件経験で成長を修めている。
しかし、各人の特徴が変わることはない。
卒業した氷室千歳の抜けた穴を補うことは、できていない。

その戦力不足を気遣われているのか、事件捜査は回って来ることが無く、
メンバーは部室で勉強など始めてしまうほど。
春は、ムシクイメンバーにも倦怠を与えたらしい。

そして、不意に事件捜査の依頼がくる。
白織警察が諦めた事件でもある。

早速”探査”に出向いた遠野圭介が見たものは、
被害者が何故か同じ扉を開けようとしている場面。
そして、関連事件の探査で見たのは、場面こそ違えど、何故か同じ少女が出てくる光景。
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服装と顔の広い早乙女羽矢の調べで、その少女は同じ学園の新入生だと判明する。
名を、音無凛子といった……。

という流れです。
それでは感想です。ネタバレがあるかも。

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まず。
この作品、ファンディスクじゃないのかも……?と思わせるくらいの展開がありながら、
ファンディスクです。
本編の後を描いた作品なので、こういう警告が表示されます。
ですので、遊ぶのは「バタフライシーカー」本編が最後まで終わった後にしましょう。


OP曲は刷新されていますが、ムービーが無いんです。
タイトル画面でタイトルロゴをフラッシュさせたCGを表示して、
曲を流すという、ムービーの代わりをしています。

パッケージも、DVDパッケージのみ。シンプルな構成です。
これらはうまくコストを抑えて、作品側にボリュームを持たせていると思えます。

OP曲「絶望フラグメント」はなかなかに格好良くて、
大事件を乗り越た彼らが再び叩き起こされ、混乱している様を思わせます。
プレイヤーの気持ちも、この曲に近かったです。

そう、ボリューム、ファンディスクの長さではあるんですが、
不足していることは無く、事件と、事件の解決に相当な説得力があります。
それから、もしかしたら、彼らにはこの事件が必要だったのかもしれないとも思えるほど。

事件推理は今作でもありますが、本編ほど複雑ではありません。
犯人やトリックについては早い段階で分かりましたが、
このサスペンスは、登場人物達の心の動きや昇華を見るためのものだと思いますから。

その本編に慣れた状態でも、この展開はやっぱり面白くて、
ついクリックが止まりませんでしたね。

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今作でも改めて思うのですが、人の動かし方、構成が本当に上手いですね。
そのエピソードは過去にあったのだろうけど、ここで入れてくるんだ、とか。
新たな登場人物の差し込み方。なるほどと思えてしまいます。

少しだけ進行を明かしてしまうと。
本編であれだけ強力だった天童優衣(花澤さくらさん)の共感能力が、削れています。
年明けに挑んだ事件で、見誤って、さらに怪我まで負っています。
生来会得していたものが分からなくなる。
また、ある意味で天衣無縫だった天童優衣に傷がついてしまいました。
これはプレイしていてショックではありました。
けれど、だからこそ描けるものがあるなと。

天童優衣のパワーダウンもあり、
大学へ行った氷室千歳(くすはらゆいさん)に協力を願い出ます。
それに対し、春を迎えた氷室千歳らしい回答がなされます。
その後、色々あって合流することになり、様々な活躍を見せてくれますが、
間違いなく成長し、その先へ進もうとしているのは、氷室千歳でしょう。

落ち込んだ状態の天童優衣にストレートな気遣いを見せるのは、
早乙女羽矢(あじ秋刀魚さん)です。
こういうところは以前と変わらず、良さを伸ばしています。

桐生梓先生(御苑生メイさん)は、掘り下げが入って、魅力がさらに増しました。
元から魅力的でしたが。やっぱり格好いいです。
たとえウッドカレーと呼ばれることになろうとも、ルートが欲しいところです。

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そして、音無凛子(相模恋さん)。
後から登場するキャラクタは、本編に登場し、
成長し終えたキャラクタに比肩しうる存在でなければならない、
というのはある意味鉄則なのかもしれません。
でも、やり過ぎじゃ無いか。音無凛子が登場したての頃はそう思っていました。
見方を誤っていましたね。これは、力は使う意志によって成せるということなのだと思います。

九重透子(かわしまりのさん)は、本編で見せたように、
いつまでもいつまでも遠野圭介を大事に思ってくれていましたね。



そうそう、付属物。
DVDパッケージのみのシンプルな構成ですが、でも、中身は豪華。
ドラマCD+キャラソンCDが付属しています。
ん?このキャラソン。もしかしてシルキーズプラス5周年記念ライブで……?

というか、結構格好良い曲が入ってるんですよね。
キャラクタのイメージまま。
印象を変えずに歌ってくれているから、という部分もあると思います。
例えば、くすはらゆいさんの歌い方は、
氷室千歳が緊張しながらマイクを持っているようなイメージがします。
また、まるで九重透子が、あの蜘蛛の巣を表した刺繍だらけの独房から、
眠れない時の気持ちを歌っているかのよう。

担当された声優さんの、別なキャラクターソングを聴いたことがありますが、
キャラクターによって歌い方を変えていらっしゃるのはすごいなと。

ただ、楽曲そのものが良いんですね。
イントロを聴きながら、キャラクターの名前を読んでしまうと、それだけで納得できる。
意外なご収穫です。特典CD。

ドラマCDもあるんですが、
これは、ファンディスクが終わってから聞いたほうが良いですね。
あんな気の抜けた天童優衣の「へ?」は、作品では聞けないかも。
遠野圭介、羨ましい。
内容、聞き応えありますけど、作品に収録して欲しかったかも。

というかね、桐生梓先生……出番は……。

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「バタフライシーカー~カオス・ナイトメア~」は、
本当なら、正統派続編としてリリースできるアイディアに、
海外ドラマでいうシーズン2、
周辺の物語を盛り込んで12~24話くらいにするところを、
音無凛子を主軸にした物語にフォーカスした作品です。

その編集によって、彼らの進んだ先の足取りが、
しっかりとした踏み込みであるのを確認するための、
アフターディスクと呼ぶのがふさわしいのかも。

なので、全体的に満足しました。
これで終わりかと思うと、ちょっと寂しくもありますね。
(でも続けると、白織市に不穏が訪れるわけですから……)

ところで、公式サイトの表記が、
本編の時は”クライム・サスペンスADV”だったものが、
カオス・ナイトメアでは”ADV”になっていますが、
ジャンルが変わったということはないので、そこはご安心を。



本編未プレイの方はセット販売もあります。