Namelessさんの「Deep One」体験版2もプレイしました。

Namelessさんの「Deep One」体験版2もリリースされました。

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平時であれば欠かすことのない鍛錬を怠ったばかりか、
妹の九花に起こされる寸前で、目が覚めた。

すっかり、昨夜の仲間との騒ぎを忘れて、
妹の九花の気遣い――お手製しじみの味噌汁――で思い出し、
色々と自省する尚哉。

それこそ宴には九花も付き合っていたはずなのに、
居間も台所も何事もなかったように片付いており、
さらに朝食の支度も万全で、起こしにきたわけだ。

自分だけこの様というのは、ダメな兄貴と謗られても仕方ない。

そもそも、鍛錬とは、もう二度と九花にあんな苦しい思いをさせないためにしていることだ。

十年前。
尚哉たち兄妹は、世間一般でいうところのウェンティゴ罹患者と呼ばれる人災に遭った。
尚哉は、その時の記憶が無い。
しかし、半年ほど立ち上がることがままならない傷を負っていたし、
九花に至っては、半年以上も意識が戻らずにいた。
襲われた理由も分からない。

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ウェンティゴ罹患者というのは、人をバケモノに変えてしまう病気として認識されている。
その名の通り食人症で、理由や原因は判明していない。
世界でも殺人の少ない国で起きる、さらに少ない件数の発病者数。
多くの人は、ブラウン管の向こうで起きる事象と捉えているだろう。

しかし受けた被害は現実に残る。
気が弱くなったときなど、尚哉は背中の三本傷が疼くように感じる。
双子の九花とは、入院生活が長引いたため、学年が違ってしまっている。
二人で助け合って、寄り添って生きていくのは、折り合いであり、誓いなのだ。

しかし、期末テストの結果が帰ってきたその日、テレビは無情にも事件を伝えてきた。
「昨夜未明、男女複数人と思われる他殺体が発見されました。
 ウェンティゴ罹患者による緊急性事件とみて――」
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体験版は、1.61GBでした。

体験版1はプレビューという印象でしたが、
今回の体験版では、キャラクタたちの舞台を感じることができます。

新本格バトルビジュアルノベル作品。
リリースされにくいジャンルとなってしまっていますが、
Namelessさんは、要素を気合い入れて整えていることを改めて感じます。

グラフィック面に関しては最上級でしょう。
キャラクタだけでなく、背景彩色なども非常に美しい。
印象的な一枚を描こうとされている気がします。

また、場面として日常をしっかり描こうとしているところは好感です。
進行は少しゆっくりめですが、この日常があるからこそ、
それが壊れたとき、取り戻したいと主人公達の気持ちに共感できると思うので。


ただ、登場人物が少しもやもやします。

旧家宿業の争い、ということですが。
最初から敵視している文示宮篤のような存在を、
主人公側はどうして放置しているのか。
それと、文示宮篤に、プレイヤー側がどれだけ共感できるのか。
現在時点では、何をしたいのか、何が理由なのかも分からない状態です。

尚弥に対して、以前から気に入らないと吐き出し、
そのためなら柚原亜希を脅す文示宮篤。
Ⅴ化させることをも厭わないほどの想いとは、なにか。
果たして、全てが明かされた後に、
文示宮篤や柚原亜希に対してポジティブな印象を持てるでしょうか。
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敵が堂々と侵入していることも気になります。
泡沫夜仔は学園教師として主人公達の身近にいるわけです。
敵をどうやって産み出すかというところは考え処だとは思いますが、
泡沫夜仔はシリアルキラーであり、もしかしたら条件設定もあるのかもしれませんが、
それにしたって無差別に害意を持つ存在、他のキャラクタたちがどうして無知覚で済んでいるのか。


また、ウリとなるバトルも、戦うべき相手は居るようですが、
戦わなくてもよい相手とも戦うようで、
うまく立ち回れず消耗することを是とするべきなのか、わかりません。
必然性の欠落、かな。
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情を捨てて何かを奉じた朱鷺谷衆逸が、
想いのためにではなく、単なる盾代わりとなって戦う場面は、
日常で弁当のことを気にかけ、
作ってくれた相手を大切にしていた朱鷺谷衆逸とはまるで異なります。

しかし本当に、比奈森沙耶はこの朱鷺谷衆逸と戦って消耗しなければいけなかったのか。
仮に背後に泡沫夜仔が控えているとはいえ、陣営に手駒が少ないとはいえ、
斎野へ殉じる気持ちを抑えるほどの技量が衆逸にあったとは思えないので、
数十合は合わせすぎだと思います。
つまり、見せ場のための戦闘になっていないかということ。

もしかしたら、非常に重要な戦略になっている可能性もありますが、
体験版においては、それが伝わりません。
主人公側がどうにも散発的に戦闘に巻き込まれているように思えてしまうので。
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しかしその分、敵が上手に回っているのならば、
それなりの、うまくやりたい理由があるはずなんですよね。

戦いには、戦いでなければならない理由がある。
そこをしっかりと描けているのでしょうか。


意外に選択肢はバッドエンドが多く、正答がひとつだけの場合が多いようです。
あるいは、ヒロインに寄り添う選択肢。

このあたりも、選択肢の意味を感じられるものに仕上がっていると良いですね。
プレイする体感を重視するのか、物語にとっての道筋にするのか。


音楽、収録は良いのですが、
メロディラインがもう少し印象的でも良いなと思うのですよね。
主張しすぎないところは良いのですが、
この作品の音楽という印象の残り方をしにくい。

このブランドさんがライバル視しているFateシリーズでいえば、
『エミヤ』『約束された勝利の剣』のような曲が足りないように感じます。
後から、あの時の音楽として挙げられる、印象を残す曲が。


細かいところですが、音声バランスがどうも合っていないというか、
セリフもうちょっと聴かせるバランスにした方が良さそうですね。

それと、全体的な演出。
もっと盛り込んで、押さえるところと強弱を付けた方がより良いと思います。
作品の長さに慣れて、平坦に思えてしまう可能性がが高いです。


しかし、何よりも気をつけたいのは、作品タイトルです。

「DeepOne」なのでしょうか。「Deep One」なのでしょうか。
公式サイト表記だと後者、しかしタイトル表記や体験版は前者。
統一するところからだと思います。
検索結果に影響しますから。
(販売店表記に倣って記述しています)

酔うのなら、末端の毛細神経までそれを通さないと。
相手にはまず、その外見的特徴しか伝わらないのですから。


2018年10月26日(金)発売予定です。